さがみに集まるハカセたち

山海嘉之 Yoshiyuki Sankai - サイボーグ型ロボットスーツ「HAL」の開発者 -

鉄腕アトムから受けた影響は?

鉄腕アトムは私にとってはロボットというよりも、日常の中で自分のまわりにいる、友達のひとりのようなそういう感覚だったと思います。

様々な出来事がテレビの画面の中に出てくる。その時にアトムはそこでいろんな判断をしていく。それがどんな小さなことであっても、人を守らなければいけないことであれば、すぐそこにまで手を伸ばして行く。そういったことを一つ一つやっていくというのはですね、私達の身の回りの事を含めて、人が本来やるべきことをそこに示してくれていたと思います。

ロボットを作っていく上での信念とは?
人や社会に役立つ、そこに尽きるのではないでしょうか。私たちとロボットの関係を考えていくと、そのロボットに求められるものというのは、やはり人や社会の中で役立ってこそ価値がある、意味があるというものではないかと思います。ロボットとは私にとっては、そういう科学技術のひとつの象徴的な存在だと思っています。
ハカセの作られたロボットを紹介してください。

このロボット「HAL」というのは、人間の生体電位信号といって脳・脊髄・運動神経・筋肉と伝わってくる微弱な人間の意思を反映した信号を取り出します。
ただ単に人間の動きを助けているという風な見方をするのではなく、脳や神経や筋肉に障害がある方、病気になった方の機能改善をしていこうという目的で開発されてきた訳です。これによって脳・神経・筋肉系への機能改善のところをこれで進めていこうという、そういうものが実はこの「HAL」ということになってきます。

実はこの別のバージョンは、グッドデザイン賞で金賞も頂戴しているものです。
日常でもし体に装着してくような小型のバージョンがあれば、装着していること自体に対して、かっこいいですねとか、そういう水準にいつも維持していきたいなという思いはあります。

ハカセにとってロボットとは?

ロボットというのは、テクノロジーのひとつの象徴である。
そして、未来を見るためのスコープである。
これまで人間だけが一生懸命お互いに支援しながら頑張ってきた、そういう社会で難しい状況になったものが、ここにロボットの技術が入ることによって、その難しい状態が少し楽な状態に変わってくる。実はここは大きいと思うんです。

とことん難しい状態から、そこそこ頑張ればいい、あるいはもっと楽になった。
これくらいだったら簡単だねという所まで、段々と技術が進歩することによって、医療や福祉や生活の中で私たちが日常的に抱えているそういった問題が、どんどんと解決出来てくる、そういう社会になっていくのではないでしょうか。